日本テレビ放送網株式会社では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、業務の効率化やITインフラなどのコスト削減に取り組んでいる。その具体策の1つが、オンプレ環境からクラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」へのシステム移行だ。
AWSに移行したシステムに、社内やリモートワーク中の社員、協力会社のスタッフなどがアクセスできる環境を用意することで、業務の大幅な効率化を図る。そのため、AWSと本社などが入る日本テレビタワー間をセキュアに接続する回線に採用されたのが、アルテリア・ネットワークスのセキュアクラウドアクセスだ。
- 導入サービス
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お客様のイントラネットとクラウドサービスを閉域ネットワーク経由で接続が可能なサービスです。
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2拠点間を結ぶ完全帯域保証型イーサネットインタフェースの専用線サービスです。
- 会社名
- 日本テレビ放送網株式会社
- 本社所在地
- 東京都港区東新橋一丁目6-1
- 設立
- 2012年4月26日(創立:1952年10月15日 放送開始:1953年8月28日)
- 従業員数
- 1,361人(2022年4月1日現在)
- 事業内容
- 放送法による基幹放送事業及び一般放送事業、メディア事業、その他放送に関連する事業
導入の背景
業務の効率化や多様な働き方には、クラウド化が不可欠
日本テレビ放送網株式会社(以下、日本テレビ)では、社内の様々なオンプレシステムをAWSに移行するプロジェクトが複数進行している。その大きな目的は、リモートワークへの対応などを含んだ業務の効率化とインフラやシステムの運用にかかるコストの削減だ。
2020年、クラウド上にシステムを構築する検討が始まった。当時、オンプレ上の業務システムの中には、社内からしか利用ができないシステムや紙処理を使っているシステムもあった。こうした社員/スタッフの業務効率を向上させるためにも、AWSを利用するためのネットワークの整備が急がれていた。
選定理由
専用線接続の冗長化を低コストで実現する提案が選定のポイント
今回のAWS移行について、日本テレビのシステム・インフラ全般の構築や運用・管理を担当していた黒坂 氏に、当時の話を伺った。
「AWSと日本テレビタワーを結ぶ回線は、セキュリティ性の高い閉域ネットワークで構築する必要がありました。また、その接続に必要なAWS Direct Connectを使用した専用線接続を行えるNIer(ネットワーク・インテグレータ)は限られており、回線の提供業者の選定は慎重に行いました」(黒坂 氏)。
日本テレビでは、セキュリティや冗長化など、可用性に対する厳しい条件のRFP(提案依頼書)をもとに、既に取引があったNier 1社とアルテリア・ネットワークスを含む合計3社でコンペを実施。その結果、アルテリア・ネットワークスのクラウド接続サービス「セキュアクラウドアクセス」が採用された。
アルテリア・ネットワークスの提案は、セキュアクラウドアクセスのメインの回線に帯域保証型の「ダイナイーサ」、予備回線にベストエフォート型の「UCOM光 専用線アクセス」を使った冗長構成。ランニングコストを抑える内容だったことが選定の決め手の一つだったという。
ネットワーク構成図を見て、知識と経験が豊富なエンジニア集団と確信
コストの削減に加え、もう1つの選定ポイントがあったと話すのは、日本テレビをはじめとするグループ企業の業務アプリケーション開発やインフラの開発・運用を担う株式会社日テレWandsの刑部 氏だ。
「提示されたネットワーク構成図を見て、一目で知識と経験が豊富なエンジニアが在籍するNIerだと確信しました。特に、日本テレビタワー側のルーター1台を、VRF(Virtual Routing and Forwarding)を使って仮想的に分割し、利用用途に合ったシステムにルーティングする構成は、私がイメージしていた通り。構成図も必要な要素が押さえられており、わかりやすく、社内での説明用に使わせてもらいました」(刑部 氏)。
VRFを使って1台のルーターを複数の仮想ルーター構成にすることで、設備コストや運用・管理コストの低減などのメリットも得られる。
導入の効果
社員から何の声も挙がっていない状況は、AWS移行が成功だった証明
2021年3月、AWSへのシステム移行と並行して専用線の敷設がスタートし、2021年7月15日に稼働を開始した。システム稼働までに回線の接続完了は絶対条件だったが、アルテリア・ネットワークスは数ヶ月の短納期にも対応した。
AWSに移行した業務システムの導入について、刑部 氏はこう語る。
「利用ユーザーから何の声も挙がっていません。“使いづらい”“つながりづらい”といった声は、まったく聞かれません。これは、以前のオンプレ環境と同じようにシステムを利用できている証明だと思います」(刑部 氏)。
日本テレビのアカウントを持つユーザー数は約6000人。アクセス権限によるが、基本的にその全員がAWS上のシステムを利用できる。そのためのインフラが整備され、今後は段階的に社内システムの移行が進む予定だ。
担当営業コメント
クラウド接続環境の構築案件のご支援をさせていただきました。
SE、デリバリー部門のみならず、お客様にもご協力頂き何とか構築することが出来ました。構築以降、様々なシステムがクラウドに移行し、働き方が変化してきているとお聞きしております。新しいネットワークにより業務効率が上がる環境を構築できたことは、ネットワーク屋としては嬉しい瞬間です。
また、お客様より感謝の言葉を頂けた時は、営業職としての一番のやりがいを感じるタイミングだなと思います。今後も最適なネットワーク環境を提案するプロとして提案を行っていきたいと思います。
営業本部 第二営業部
野澤 辰義