明治学院大学は、白金(港区白金台)と横浜(横浜市戸塚区)のキャンパスネットワークで、国立情報学研究所が運営する学術情報ネットワーク「SINET(サイネット)」(※1)を利用している。2019年、SINETのバージョンアップを機に、明治学院大学はキャンパスネットワークを見直し、仮想大学LAN(※2)の導入、新規の回線導入、既存回線の増強、冗長化などを行った。明治学院大学のキャンパスネットワーク全体の刷新を支えたのが、アルテリア・ネットワークスの専用線サービス「ダイナイーサ」とネットワーク構築のノウハウだ。
1 SINET(Science Information NETwork):日本全国の大学、研究機関などの学術情報基盤として、国立情報学研究所が構築、運用している情報通信ネットワーク。
参考:https://www.sinet.ad.jp/
2 仮想大学LAN:SINETに接続した複数のキャンパス間で、組織内LANを任意に拡張して通信可能とするサービス。
参考:https://www.sinet.ad.jp/connect_service/service/vswitch
- 導入サービス
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2拠点間を結ぶ完全帯域保証型イーサネットインタフェースの専用線サービスです。
- 会社名
- 明治学院大学
- 本社所在地
- 東京都港区白金台1-2-37
- 設立
- 1949年(創立:1863年)
- 従業員数
- 勤務員数 1,641人、学生数 12,624人(大学学生及び大学院学生を含む)(2024年5月1日現在)
- 事業内容
- 1863年創設の英学塾「ヘボン塾」を淵源とし、7学部17学科を擁する総合大学
学部:文学部、経済学部、社会学部、法学部、国際学部、心理学部、情報数理学部
導入の背景
学生が持ち込むPCの増加を見越し、拡張性と冗長性の高いネットワークに刷新
以前のネットワークは、主な用途が学生による学校内でのPC利用だったため、非常にシンプルな構成だったと情報センターの舘久 氏は話す。
「2019年にネットワークを刷新する前は、学生が個人の端末を校内に持ち込むケースが少なく、大学が設置するPCの利用が多かったようです。しかし、学生のスマホや個人PCなど、持込み端末の増加を見越し、SINETのバージョンアップを機に仮想大学LANも導入し、キャンパスネットワークのインフラ全体を刷新することが決定されました」(舘久 氏)。
ネットワーク刷新に伴い、回線の冗長化、白金キャンパス・横浜キャンパス間の回線増強、ファイアウォールの統合など、複数の要件を挙げ、シンプルで拡張性と冗長性の高いネットワーク構築を目指すことになった。
導入の経緯
要件を満たすネットワーク構成と、ファイアウォールの運用保守を含む総合的な提案を採用
前段の要件を元に、既設回線の提供元を含む複数社によるコンペが実施された。舘久 氏はネットワーク構成図と当時の記録、関係者の話などを元に、アルテリア・ネットワークスが選ばれたポイントをこう話す。
「アルテリア・ネットワークスの提案にあったネットワーク構成図を見ると、メイン回線の増強や冗長化に加えて、将来の帯域拡張が容易なシンプル構成といった要件すべてを満たしていました。また、統合的な運用保守までカバーしたファイアウォールの提案が、決め手になったと聞いています」(舘久 氏)。
白金キャンパスのみだったSINETとの接続に、横浜キャンパスとの接続回線を追加して冗長化を図り、それぞれ10Gbpsのアルテリア・ネットワークスの専用線サービス「ダイナイーサ」が敷設された。回線の提供だけではなく、ネットワーク構成の要件を満たすネットワーク機器やサービス、ノウハウを含んだ提案が、大きな選定ポイントだったという。
導入の効果
約15,000人のユーザーからの不具合報告も、通信の遅延や障害もない状態
「ネットワークの刷新後、約15,000人の学生・勤務員から、回線圧迫等による使いにくさなどのコメントはありません。また、SINETとの接続を冗長化したことで、ネットワーク機器の障害などによる通信の切断時間も発生していません」(舘久 氏)。
運用においても、キャンパス間の大容量データ通信やデータ同期処理の際に、帯域の圧迫や通信遅延のないメリットが得られたという。
「SINETにつながる10Gbps専用線において、各キャンパスの現通信量は2~3Gbpsなので、以前の1Gbpsのままだったら遅延や障害が発生していたでしょう。明治学院大学は、SINETを活用した新しいキャンパスネットワークで、目指していた目標を達成できました」(舘久 氏)。
今後の展開
大学の成長に合わせたキャンパスネットワークの提案をいただきたい
明治学院大学は、2024年4月に情報数理学部を開設し、2025年秋には横浜キャンパスに新校舎が誕生する。このことがネットワークに与える影響は大きいと舘久 氏は話す。
「学生と勤務員を合わせたユーザー数の増加と研究用途のネットワーク利用により、通信回線の帯域はますます重要になっていきます。その対応として、回線増強を視野に入れ今後の更新を検討していきたいと思っています」(舘久 氏)。
「利用者からは『キャンパス回線を更に太くしてほしい』という要望がありましたが、回線の利用状況等を踏まえ現段階では具体的な計画までは至っていません。しかし、SINETを使った研究機関との学術情報のやり取りが始まれば、回線の増強とそれに合わせたネットワーク機器が必要になってくるでしょう。その際は、アルテリア・ネットワークスに相談する予定です」(舘久 氏)。
キャンパスネットワークとSINETとの接続を、自社回線を使い自社で構築したアルテリア・ネットワークスを高く評価する舘久 氏。今後も、データ量の増加やSINETのバージョンアップといった大学の成長・変化に応じたネットワークの実現を、アルテリア・ネットワークスの総合的な提案と実践力が支え続けていく。
上記は、2024年9月時点の内容です。
担当営業コメント
お客様のネットワーク刷新を契機に弊社の強みを活かしたネットワークを構築させていただきました。
育成の場であるキャンパスと外部(SINETやインターネット)との境界線となる回線は堅牢であり柔軟な対応が求められます。導入時のコンサルだけでなく、日々の運用面においても、SE・営業・サポートが一丸となり、お客様のご要件に対応しております。大学を取り巻く環境として、産学連携による学術研究の促進やクラウドの利活用により、今後も学外との通信トラフィック量はますます増えていくものと考えております。
自社で設備を保有している強みを活かし、教育現場を支えるネットワークプロバイダーとして今後もお客様に寄り添い期待に応えてまいります。
法人事業本部 第一営業本部 公共営業部 営業第一チーム
庄司 吾一